天国への怪談

 猛暑と呼ぶにふさわしい、とある日の午後のこと。

 仕事で移動中、突然お腹の中の楽団が、「ツッタカター・・」とスキャットし始めた。

 自転車をこぎながらも、私は余裕であった。

 なんせ奴等、家のすぐ近くでおっぱじめたからである。

 仕事中といっても緊急事態。家に立ち寄ってすませることにした。

 余裕とはいえ、それは行くアテがある余裕であり、事態は一刻の猶予もないのだ。

 私は急いで自転車を降り、エレベーターの前に立った。

 そこには、その時の私にとってあまりにも殺生なお触書が一枚、無機質に貼られていた。


 エレベーター点検中


 1つ残された手段は階段


 部屋は5階


 私はこの世界を呪った・・・。




 そこから時を戻すこと1週間




 とあるパチンコ屋でパチンコに興じる男(36歳)

 のめりこむ余り、彼はソレをギリギリまで我慢した。

 既に楽団はカウントをとって、スキャットするまでの前奏を始めているというのに・・

 そして、限界を目前にして厠へダッシュした!

 そこで彼が目にした文字は


 


 彼は神を呪った。

 スキャットした楽団にやり直しは、ない。

 とりわけ彼の楽団は一度スイッチが入ったら全開な奴等だ。

 彼は、神を、呪った。

 その後、彼がどうなったかは、

 8月27日、大日本銀幕愛好会時節講演で明らかになるやもしれません。




 そして時を1週間経て・・・




 暑い日の午後のビルの階段は地獄であった。

 もう何処に力を入れれば良いのか分からず、

 何度かくじけそうになった。

 そんな時、目を閉じれば浮かぶ・・・

 パチンコ屋で粗相をしでかした先輩の顔。

 それを本人から聞いた時に覚えた戦慄。

 一段、そして一段、地獄から天国へ・・・

 そういや以前、家にお米を配達してくれた米屋の先輩が言ってたっけ・・・

 イッセイん家の階段、5階までちょうど69段だった!・・・・と。

 おお・・・69・・・。

 ロックへの階段だ。

 ふふ

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その先輩が、なぜ階段の数など数えたのか?

 そもそもエレベーターをなぜ使わなかったのか?

 そんな事、知る由もなく・・・

 一段、また一段と、私は進んで行った。


 ロックの先にある、天国へ向かって。














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MR.SCAT

36years old
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by issei1975 | 2011-08-10 21:55


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